型崩れを起こしてくたびれて見える

トラブルシューティング2型崩れを起こしてくたびれて見える

2011年発行 「日本の革 4号」より

元の形をイメージしながら
歪みや縮みを手で修復

重い荷物の持ち運びに加え、乾燥や湿気など気候の影響も受け、変形してしまった鞄。手で引っ張り、アウトラインの体裁を整えるだけでも全体の印象はかなり変わってくる。その後、詰め物をして1〜2日置くとより効果的だ。
革を引っ張る作業をスムーズにするコツは、「ヒーターの前など暖かい場所で行うこと」と大関さん。革が伸びやすくなるからだそうで、革職人は真夏でも実践しているという。また、革は乾燥すると硬くなるため、事前にオイルを塗っておくと作業がやりやすくなる。
直った鞄はタオルなどを中に詰め、風通しのよい場所に吊るして保管を。新たな型崩れ防止になるのでおすすめだ。

長年の使用によって全体的に歪みが生じてしまった鞄。不自然なへこみやシワ、ラインのズレなどが随所に見られ、くたびれた印象を受けてしまう。

Step 1. オイルで革を柔らかく

まず、ブラシで汚れやほこりを落としたら、スポンジでオイル(ラナパー)を塗っていく。油分で革が柔らかくなり、ステップ2以降の革を伸ばす作業がやりやすくなる

Step 2. アウトラインの歪みを修正

両サイドや底のラインの歪み、つぶれてしまったマチなど、変形が気になるところを手で引っ張って元の形に戻していく。革が硬めの場合、かなり力を入れても大丈夫!

Step 3. 角は内側から押し戻す

コーナー部分のへこみは、内側から指で押し出して形を整えていく。指の代わりに、歯ブラシの柄など先端が丸い棒を使ってもいい。しっかりと角が出るよう念入りに押し戻す。

Step 4. 硬い部分は揉みほぐす

革が硬くて引っ張りにくいときは、指で揉むようにすると摩擦熱で暖まって柔らかくなる。広範囲を一気にやろうとせず、少しずつ揉みほぐしながら伸ばしていくとよい。

Step 5. 細部の変形を修復

持ち手の近くなど、コンスタントに同じような負荷がかかる場所は変形しやすいもの。気になるラインの歪みやシワなどがあれば、指で引っ張り、伸ばすように修正していく。

Step 6. 新聞紙で詰め物を作る

鞄のアウトラインよりも若干大きくなるように意識して、新聞紙を折りたたんで詰め物を何個か作る。鞄への色移りを防ぐため最後に白い紙で包んでおくことをおすすめする。

Step 7. 詰め物をして形をキープ

修復した形を定着させるため、詰め物でパンパンにする。詰め物を入れるときは、シワや歪みなどをグッと外側に押し出すイメージで隙間なく詰め込んでいくのがポイント。

Step 8. 1〜2日間吊るしておく

詰め物を入れて形を整えたら、風通しのよい日陰に吊るし、1~2日置いておく。吊るすことで型崩れを防ぎ、また中に詰めた新聞紙が湿気を吸い、より形が戻りやすくなる。

Step 9. 完成!

内側にへこんでいたコーナーがふっくらとよみがえり、持ち手近くのラインの歪みもまっすぐになった。光沢も出て見た目の高級感もアップ!

型崩れを補正するケアグッズ

1.オイルを塗るためのスポンジ。
2.大関さんおすすめのラナパー(250g/¥3,150)。蜜ロウとホホバ油を主成分とするレザートリートメントで、保湿、撥水、防カビなどの効果が期待できる優れもの。
3.作業を始める前に、ブラシをかけて汚れやほこりを落としておくとスムーズ。
4.詰め物として使う新聞紙。湿気吸収も期待できる。
5.鞄に新聞を詰める前に、こうした白い紙でカバーして色移りを防ぐ。

ガンコな歪みにはアイロンを!

手で引っ張っただけでは戻らない歪みや深いシワにはアイロンが有効。低温に設定し、当て布をした上からアイロンをかけて伸ばしていく。ただし、革によっては傷めてしまうこともあるので要注意。